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うな繁の天然鰻重 [おいしいコト]

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夕暮れ時、ここが「柿田川湧水群です」の看板を横目に東京に向かって走っていた。そこへ「天然鰻入荷」の看板が目に飛び込む。なんとも清涼感溢れる、、、いや、いやおう無しに食欲をそそるイメージの連鎖ではないか。日本一の名水に天然鰻ときたらこれは食べないわけにはいかんでしょ、という愚図な私にしては珍しく瞬時の決断を下し、暖簾をくぐったのであった。

三島うな繁



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席に着くやお品書きを拝見して、価格に、ちょっと、、動揺した。
四千二百円也」とは。
ま、まぁね、ここで「並み」とは言えないし、せっかくだし、なんて肯定する文句ばかりが口に出る。

えぇぃ、女将、天然鰻重くれ」と気っ風よく腕組みして注文した。

待つこと30分程だろうか。「おまちどうさま」の声に、今一度緊張を持って背筋を正し、お出迎えの心を体現した。蓋を取ると思わず口元が緩む。お出ましお重さまから発するいい匂いに引き込まれそうになるのを我慢してカメラを手に取った。
「美味しく撮ってね」という女将の愛想も心地よかった。箸を持ち、お重の左上隅を狙って第一投を差し込むやいなや口に頬張った。

「う、旨い」。

鰻も然る事ながらタレの塩梅が良く僕好みだ。甘くなく醤油のフレッシュさを感じるところがいい。

思えば幼少時、小学校にも行かず夜通し鰻釣りをよくしたものだった。節の多い竹竿の先に鈴を付け、夕方から日が変わる頃まで真っ暗な中で釣ったものだ。釣果はさすがに兄貴にかなわなかったな。また田んぼの水を落とすため堰を閉めるのだが、用水路の水位が落ちるとそれはもう桃源郷の出来事のように、1メートルを超える魚という魚が水面を踊っていた情景が本当に事実だったのだろうかと疑うくらい強く強く目に焼き付いている。今思えば、先進の文化を得るために知識もなく生態系の破壊を許してしまっていたのかと思うと、当時10歳の僕は己の無知に今も深く後悔する。自然護岸の濁る水中に手を突っ込んで捕まえた鯰、木綿糸で釣ったマッカジン(とてつもなく大きなザリガニ)、婚姻色に輝くタナゴ、これらを農薬で一瞬にして失ってしまった。そんなことを思い起こす味だった。

勝手なパラレル思考に溺れることなく、久しぶりに旨い鰻に出逢うことができて幸せを感じる心がそこにいた。
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to-fukozo

天然ウナギ。あこがれます〜。
自分が幼少のころはすでに生き物との接点が希薄になっていたように思います。
雑魚採りとかやりたかったなぁ。
ああ、鰻重みてるとよだれが。。。
by to-fukozo (2009-10-08 01:29) 

マコちん

さすが天然物の鰻さん、高いな!
我が家は鰻はタダで食べますが、もちろん養殖です。

うちの裏の川に鰻は居ないだろうな…
まず水がきちゃないし(>_<)
鯉とか亀ならいるけどな(^^;

by マコちん (2009-10-08 06:16) 

モモパパ

この時間に他でも鰻を・・・お腹空いたよ〜(T_T)
明日、この仕返しを持参致しますのでお受け取り下さい^^;
by モモパパ (2009-10-08 23:58) 

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